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ご紹介, 所蔵(邦郎)

日本色彩研究所編著 『新色名帖』              

日本色彩研究所編著『新色名帖』               日本色彩社、1956年

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邦郎が装幀の仕事のために使用していた色名帖。

元子幼時の遊び道具。

さすがに烏口は尖端が危険と思われたか、触る機会は得られなかったが、これは何故かいつも手の届くところにあった。

ぱらぱらとページを繰ると思いがけない色の組み合わせが現れ、“美しい”組み合わせではないものも、それはそれで面白いと感じられた。

思えばこれが、邦郎から娘、元子への、最初で最後の色彩教育であった。

この色名帖から、邦郎が小さな四角を切り抜き、何か描かれた紙の脇に並べて貼りつける作業を見るのは楽しく、しかるのちに訪れる客人(編集者)にその紙が渡されると、時をおいて書籍が帰ってくる。これには驚かされた。

だからといって、これらのことをもとに将来はブックデザイナーになりたいなどと元子はついぞ考えたことがなかった。