ご紹介, 所蔵(邦郎)
日本色彩研究所編著 『新色名帖』
2018/05/03
日本色彩研究所編著『新色名帖』 日本色彩社、1956年
邦郎が装幀の仕事のために使用していた色名帖。
元子幼時の遊び道具。
さすがに烏口は尖端が危険と思われたか、触る機会は得られなかったが、これは何故かいつも手の届くところにあった。
ぱらぱらとページを繰ると思いがけない色の組み合わせが現れ、“美しい”組み合わせではないものも、それはそれで面白いと感じられた。
思えばこれが、邦郎から娘、元子への、最初で最後の色彩教育であった。
この色名帖から、邦郎が小さな四角を切り抜き、何か描かれた紙の脇に並べて貼りつける作業を見るのは楽しく、しかるのちに訪れる客人(編集者)にその紙が渡されると、時をおいて書籍が帰ってくる。これには驚かされた。
だからといって、これらのことをもとに将来はブックデザイナーになりたいなどと元子はついぞ考えたことがなかった。