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ご紹介, 蔵書(孝四郎)

Kleist, Heinrich Von,Prinz Friedrich von Homburg,Leipzig, Verlag Philipp Reclam Jun.

Kleist, Heinrich von ,Prinz Friedrich von Homburg: Schauspiel; Universalbibliothek Nr. 178 Leipzig, Verlag Philipp Reclam Jun.

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ドイツの劇作家、ジャーナリスト、小説家であるハインリヒ・フォン・クライスト(1777-1811)の晩年の戯曲『公子ホンブルク』、ドイツの出版社、レクラム社のペーパーバックシリーズ「世界文庫」(通称「レクラム文庫」)のひとつである。

孝四郎の蔵書にクライスト、とは奇妙に思われるかもしれないが、人形劇に対する関心を思えば、さほど不思議ではない。出版年の記載はないが、海外の古書販売サイトは、1910年代の出版としている。

国立国会図書館に所蔵されている最初の邦訳『公子ホンブルク』(岩波書店)の出版年が1921年となっていることから、孝四郎がこの本を入手したのは、それ以前であるか、邦訳が出版されているにもかかわらず、原書を入手したことになる。その熱意は、本文72頁のうちのほとんどに、書き込み(日本語訳や、辞書に書かれていたと思しき、ドイツ語用法についてのメモ)があることからもうかがわれる。

さて、孝四郎のドイツ語能力であるが、獨協大学に保存されている明治38年度の「獨逸學協會學校中學第貮年級乙組試驗成績表」によれば、その評価(「書取 習字」など4項目による評価)は際立ってよくもないが落第点もないといったところであろうか。「優」、「良」などの格付けが現在と違い、厳密に確定することは難しいとのことである。